次世代橋梁メンテナンスに関する研究論文がプレスリリースされました

次世代橋梁メンテナンスに関する研究論文がプレスリリースされました

当研究室の今井龍一教授を中心とする研究チームは、老朽化が進む橋梁インフラの維持管理を効率化するため、3D形状データと点検・補修履歴を一元管理する新たな「統合データモデル」を開発しました。
本研究成果は、学術誌『Computer-Aided Civil and Infrastructure Engineering』に掲載され、法政大学よりプレスリリースされました。

国内の橋梁は建設から50年以上が経過するものが急増しており、維持管理の効率化が喫緊の課題となっています。しかし、これまでの実務では「図面や3Dモデル(形状情報)」と「点検・補修記録(維持管理情報)」が別々のシステムで管理されていることが多く、情報の分断が課題でした。
本研究では、以下の2つの異なる国際標準規格を統合した新たなデータモデルを提案しました。
IFC (Industry Foundation Classes): 建設・BIMのための国際標準規格
CityGML: 都市モデル・地理空間情報のための国際標準規格
これにより、橋梁の3Dモデル上に、「いつ、どこが損傷し、どのような補修を行ったか」という履歴情報を意味的に紐づけて蓄積・可視化することが可能になります。

この統合データモデルを活用することで、インフラ管理者は3Dモデル上で直感的に過去の履歴を参照できるようになります。これにより、現場での迅速な意思決定や、デジタルツイン上でのAIを用いた劣化予測による予防保全への転換が期待されます。そして、橋梁崩落などの重大事故の未然防止やインフラの長寿命化が促進され、人々がより安全で持続的に暮らせる社会の実現に貢献します。 

・Authors: Kenji Nakamura1, Yoshinori Tsukada2, Toshio Teraguchi3, Chikako Kurokawa4, and Ryuichi Imai5
・Title of original paper: Integrated data model for bridges with 3D geometry and maintenance information
・Journal: Computer-Aided Civil and Infrastructure Engineering
・DOI: 10.1111/mice.70084

Affiliations: 
1Faculty of Information Technology and Social Sciences, Osaka University of Economics, Japan
2Faculty of Engineering, Reitaku University, Japan
3Faculty of Economics, University of Marketing and Distribution Sciences, Japan
4Advanced Technologies Research Laboratory, Asia Air Survey Co. Ltd., Japan
5Faculty of Engineering and Design, Hosei University, Japan

・大学プレスリリース(英語):https://www.hosei.ac.jp/english/news/20251127/
・法政大学HP:https://www.hosei.ac.jp/